2021.12.04 
  新型コロナウイルスの変異ウイルスである《オミクロン株》に対する警戒感が日増しに高まっています。
 日本政府は11月30日から全世界を対象に外国人の入国を禁止すると発表しました。
 オミクロン株ってどんなウイルスなんでしょうか?
 【目次】
 ① 過去最速のVOC(懸念すべき変異株)認定
 ② これまでの変異株より高い感染力の可能性
 ③ ウイルスの変異とは?
 ④ 重傷化リスクは低い?
 ⑤ まとめ
 結論だけ読む人用の要約
 ① 過去最速のVOC(懸念すべき変異株)認定
 南アフリカが初めてWHO(世界保健機関)にオミクロン株を報告したのが11月24日。
 WHOがオミクロン株をVOC(懸念すべき変異株)として指定したのが11月26日。
 全世界で猛威を振るったデルタ株ですら、
 インドで確認されてからVOCに指定されるまで6カ月間の期間がありました。
 報告から2日というオミクロン株の指定は、他の変異株も含めて最速です。
 ② これまでの変異株より高い感染力の可能性
 その特徴は、ヒトの細胞に感染するときの足がかりになる《スパイクタンパク質》に起きている変異が、従来とは比べものにならないほど多い事です。
 スパイクタンパク質は、いくつものアミノ酸が連なって構成されています。
 ラムダ株は、その内7カ所のアミノ酸に変異が起きています。
 一方のオミクロン株では30カ所以上のアミノ酸が変異しています。
 これは、これまでVOC(懸念すべき変異株)に指定された どの変異株と比べても明らかに多いです。
 単に変異の数が多いだけではありません。
 重要なのは、感染の足がかりになるスパイクタンパク質の中でもその一部《受容体結合領域》と呼ばれる場所で起きている変異です。
 ここはヒトの細胞に侵入する際、直接細胞と接する領域です。
 ここに変異が起きているという事は、感染のしやすさ等に変化が起こる可能性が高いという事です。
 オミクロン株の受容体結合領域の変異には、
 ・ヒト細胞とウイルスとの融合を促進するもの
 ・中和抗体から逃れる可能性があるもの
 ・感染性を高めるもの 等が分かっています。
 さらに、受容体結合領域の外側ではあるものの、領域の構造に影響を与えて感染性を高める変異も起きています。
 これまでの変異株では、感染しやすくなる等の特徴を示す変異が23つでしたが、オミクロン株には少なくとも4つは入っています。
 新型コロナウイルスが細胞に侵入する時、
 《フーリン》と呼ばれるタンパク質分解酵素がスパイクタンパク質を切断するプロセスがあります。
 オミクロン株では新型コロナウイルスとして初めて、フーリンによって切断される部位の近くにも変異が起こっています。
 同じコロナウイルスであるSARSやMERSコロナウイルスは、フーリンによって切断されるこの部位そのものを持っていません。
 新型コロナウイルスは、この切断部位を持った事で感染効率が上がり、SARSやMERSコロナウイルス以上に感染が広がったと言われています。
 その為、もしこれがより切断されやすくなるような変異であれば、感染力がより高まっていると見られます。
 フーリンによって切断される部位の近くの変異から見ると、オミクロン株はこれまでの変異株に比べてかなり高い感染力を持つ可能性を示唆しています。
 ③ ウイルスの変異とは?
 その一方で、現在主流のデルタ株に比べて、
 ・どれだけ感染しやすくなっているのか?
 ・重症化しやすくなっているのか?
 など具体的な部分ではまだ詳しいことは分かっていません。
 フーリンによる切断部位に入った変異も、そこに変異が入ることによって、
 さらに切断されやすくなって感染性が増すのか、
 逆に切断されにくくなっているのか、
 どちらの可能性もあり得る為、実際の所はまだ分かりません。
 これから出てくる研究成果に注目したいところです。
 変異が多いからといって、それがウイルスにとって有利な変異とは限りません。
 大事なのは スパイクタンパク質全体の構造がどう変わっているかです。
 変異が起きている部分を個別に見て、感染しやすさや重症化のしやすさを判断することはできません。
 そもそも一般的には、変異をする事自体は、ウイルスにとっては不利な事です。
 変異前には一定の感染性が約束されていたのに、ランダムに変異が起こる事でウイルスとしてこれまで獲得していた利点を失ってしまう可能性の方が高いからです。
 例えるなら人気絶頂の芸能人が、突然キャラ変を仕掛けてくるようなものです。
 その為、実際には変異株の大半は人知れず消えていっています。
 オミクロン株では、ワクチン等による中和抗体の効き目の低下が懸念されています。
 中和抗体は、スパイクタンパク質上にある複数のアミノ酸を認識して結合しています。
 その為、いくつかのアミノ酸が変異したとしても、中和抗体は他の部分でウイルスを認識して感染を抑えられるはずです。
 従って、程度は分かりませんが 従来より結合しにくくなるとしても、ワクチンの中和抗体が全く効かなくなるという事はないと見られています。
 世界保健機関(WHO)の主任科学者・ソーミャ・スワミネイサン氏は、オミクロン株による重症化はワクチンで防げる公算が大きいとの見方を12月1日の記者会見で示しました。
 ④ 重傷化リスクは低い?
 一方、世界でオミクロン株の感染力の高さに比して、脅威については疑問も挙がっています。
 オーストラリア政府のケリー首席医務官は、
 「多くの国で300を超える感染例が診断されているが、全てが非常に軽症か症状が全くなかった」と
 オミクロン株が他の株と比べて致死性が高いことを示す証拠はなく、実際はその反対かもしれないとの認識を示しました。
 とは言え、南アの科学者らは
 これまでの感染者は抵抗力が強い若い人が中心で 一定の潜伏期間を経て発症する為、実際の影響を判断するのは現時点では困難。
 オミクロン株の症状が軽症のケースだけかどうか判断するのは時期尚早だと指摘しています。
 ⑤ まとめ
 突然浮上してきたオミクロン株については、まだ分かっていない部分が多いです。
 現状では、感染力の高さが予想される一方、
 重傷化リスクはそこまで高くはないのではないかという見方もあります。
 しかし不明確な部分が明らかになってくるまでは安易な判断はできません。
 特にデルタ株が落ち着きつつある日本は、オミクロン株にとっては競合のいないガラ空きのニッチです。
 オミクロン株が流行し始めたら一気に広がる可能性もあるので、油断せずに過ごしましょう。
 結論だけ読む人用の要約
 オミクロン株はその変異の特徴から、従来株よりも高い感染力を持っている可能性が指摘されています。
 重傷化リスクは高くないとの見方もありますが、まだ不明な事も多く、確定できていません。
 今後も油断せずに感染対策を続けていきましょう。
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