千葉県市川の整体院

市川整体院 body talk

そして予約当日、高野さんの健康に関わるヒストリーを知るためにいくつかの質問をした時に、その体験談が出てきました。



病院でも「一生治りません」ってサジ投げられちゃったの

「カイロって整体の一種ですよね？
私ね、20年くらい前なんだけど、友人が紹介してくれた整体院に行った事があるの。
そこで整体を受けたらその場で動けなくなって、その日は何とか帰れたんだけど、翌日から本当に起きれなくなって、病院でも『これは神経を傷つけてしまっているので一生治りません』ってサジ投げられちゃったの。」


固まりました。
ドッと冷や汗が出て「え？で、でも今お元気ですよね？」と聞き返しました。

「10年くらいほとんど寝たきりだったんだけど、ちょっとずつ回復して歩けるようになったの。
病院でもなんで回復できたか分からないって言われた。
今は左手の指先があまり動かないのと感覚がないくらいで、普通に生活出来るようになったの。」


今からこの人を施術するのかと思うと、ものすごく恐ろしくなりました。
同時に「先生がやってくれるなら私受けてみたいの」と言った高野さんの言葉の重さに気付きました。

この人はそれほどの体験をしていながら、私を信頼してくれて勇気を奮って一歩踏み出してくれていたのだ、と気付きました。
施術する側の私でさえ恐ろしいと感じているのに、施術を受ける高野さんご自身は一体どれほど恐ろしかったのでしょうか。


その高野さんの信頼に対して、今の自分は役者不足ではないのか？
あふれていた自信は、穴のあいた風船のように急速にしぼんでいきました。
結局、安易に施術する事は信頼に応える事にはならないと考えて、その日はカイロの施術をせずに、問診に徹して次回の予約を取りました。


カイロプラクティックには神経の損傷などの事故を避けるための徹底したマニュアルがあります。
私が通っていた学校は、校長が医大の神経学の教授だった事もあって、そのような施術の安全性についてはかなり厳しく指導する学校でした。
そういった講義のノートや、検査法の本を改めて真剣に読み返しました。

20年前に高野さんに整体した先生はベテランだったと聞きましたが、新米の自分はベテランよりも慎重に施術できる！
安全性だけならベテランよりも自分の方が確実だという自負も生まれました。



私の中に生まれた怒り

そして高野さんのご予約日が来ました。
しっかり検査をしてみたところ、安全性が確認できたので施術する事にしました。
高野さんの左手指先に今も残っているマヒは重要なセンサーになると考えたので「施術中に指先の感覚に異常を感じたら、すぐに教えて下さい」と伝え、ハイリスクハイリターンな施術は避けて慎重なカイロ施術を心掛けました。

高野さんはカイロ施術の効果に満足して下さり、また次回の予約を入れて帰られました。
しかし私は家に帰っても悶々として、なかなか寝付けませんでした。


２つの想いがありました。
自分の検査や施術は、本当に安全性を可及的最大限に確保出来ていたのか？という自問。

そしてもう１つ。
高野さんを20年前に施術した整体師への怒りです。

高野さんのお話によれば、検査などは行わずすぐに施術に入ったとの事でした。
私はカイロの学校でも「ちゃんと検査して、危険な施術をしない」という事を厳しく教えられていたし、
勤務先のドクターや先輩治療家に「良くする事は大切だけど、悪くさせない事はさらに大切」と教育されていました。
だからその整体師の施術スタンスが納得出来ず、
そして実際に高野さんの奪われた10年間を思うと怒りを感じたのです。