ランドセル症候群って何?

2021.11.13
小学校の教科書って15年前と比べて1.7倍のページ数になってるのご存知ですか?
そんな重たいランドセルを体の小さい小学生が持ってて大丈夫なのでしょうか?
【目次】
① ランドセルが重過ぎて子供の心身に負担
② 教材は年々重たくなってきた
③ 成長期に重過ぎるランドセルは良くない
④ 少しでも荷物を軽く持つ方法
⑤ ランドセルで歪んだ体を整える
結論だけ読む人用の要約
① ランドセルが重過ぎて子供の心身に負担
子どもが体の不調を訴えているとしたら、ランドセルの重さのせいかもしれません。
骨や筋肉が未発達の子どもにとって、重いランドセルは日々の負担になります。
学校用水着開発の大手『フットマーク』は、
「ランドセルの重さに関する意識調査」を行い、
「小学生の3人に1人が《ランドセル症候群》になっている」という調査結果を 11月8日に公表しました。
《ランドセル症候群》とは、
自分の身体に合わない重さや大きさのランドセルを背負ったまま 長時間通学する事による、心身の不調を表す言葉です。
筋肉痛や肩凝り・腰痛などの身体的異常、
通学への憂鬱感など精神的異常など、
ランドセルの重さによって心身にダメージを受けている状態です。
荷物を入れたランドセルの重さは平均3.97kg
その中でもランドセルが5kg以上の小学生は約4割以上を占め、中には10kg以上のランドセルを背負っている子供もいるようです。
背負う荷物の重さは一般的に「体重の10%が望ましい」とされています。
小学1〜3年生の平均体重は約25kgなので、2.5kg以下が適切な重さと言えます。
保護者の2.7人に1人が「重い荷物を背負う事が億劫で、子供が登校を嫌がった経験がある」と回答しており、問題としては無視できないのではないでしょうか。
② 教材は年々重たくなってきた
近年の教科書は20〜30年前に比べて大きくなってきています。
それに合わせて、ランドセルのサイズも大きくなっているようです。
とは言え、商品開発が進んで ランドセルそのものは昔より軽くなっています。
ただし、その中身は逆と言えます。
学習指導要領の改定などにより教科書のページは増加を続け、小学16年生の全教科分の教科書の総ページ数の平均は、
2005年には4,857ページだったのに対し、
2020年では8,520ページと1.7倍に増加しています。
ランドセルに教科書などの教材を入れると約4kg
体操服や給食のエプロンなども併せると5kg近くになります。
小学校までの平均通学時間は片道15〜16分となっており、体の小さな小学生にとっては大きな負担になると想像できます。
こうした背景を受けて文部科学省は2018年に通学時の荷物の重さに配慮するという事で、
学校に教科書を置いて帰る、いわゆる《置き勉》を認める事務連絡を出しています。
ただ、既に置き勉を認める学校も出ていますが、
「忘れ物をしない為のトレーニング」など主張して 未だに置き勉を禁止している学校もあり、
実態としては小学生の46.8%が「置き勉を認められていない」と回答しています。
③ 成長期に重過ぎるランドセルは良くない
筋肉や骨の成長が未熟な小学生の荷物が重過ぎる事は良い事ではありません。
ランドセルが重くなってしまうと、
バランスを保とうと前傾姿勢を取り、
無意識にアゴを突き出した姿勢で 首を傷めてしまったり、肩が凝ってしまう可能性があります。
さらに腰にも負担がかかり、腰痛の原因にもなります。
④ 少しでも荷物を軽く持つ方法
《荷物の重心》と、体の重心の真下の地面(仮に《地面の重心点》と呼びます)を結ぶ直線が垂直から傾くほど、同じ重量でも体への負担は重くなります。
例えばランドセルの、より後方に重い物がある方が負担が強く、
ランドセルの底の方に重い物があるほど負担が強くなります。
逆に角度が浅くなるほど軽くなるので、アフリカ人などが頭に荷物を乗せる《頭上運搬》は最も負担が少ないと言えます。
これはランドセル以外にも当てはまります。
例えば手さげカバンでも、手に下げているより肩に掛けた方が、体に近く重心も高い位置になるので、負担は軽くなります。
そこで以下の対策が有効です。
● 肩ベルトの長さを調整
ランドセルが低くなり過ぎないよう、肩ベルトを調整しましょう。
● 背中の隙間
ランドセルと背中の間に隙間ができると《荷物の重心》が体の重心から離れてしまい、負担が増えてしまいます。
フィットするよう肩ベルトを調整しましょう。
● 重い荷物は前方に
重い荷物は、ランドセルの中でも背中に近い前方に集める事で重心に近付けて負担を減らせます。
● 重い荷物は上方に
荷物の重心を上げれば《地面の重心点》から《荷物の重心》のラインの傾き角度を浅くできるので負担軽減に有効です。
またランドセル内で荷物が振られていると、慣性によって負担が増します。
● ランドセルの隙間を埋める
ランドセル内の隙間にタオルなどを入れて安定させる事も負担軽減に繋がります。
肩ベルトはランドセルが後方に倒れようとするのを肩甲骨で前方に支える構造です。
しかし肩甲骨は非常に不安定な骨格です。
ランドセルの重量が増えるに連れて、肩を前下方に巻き込むような筋力で支えます。
つまり巻き肩になりやすいです。
● チェストベルトを使用
チェストベルトはランドセルの重量を、胸郭(肺周囲の骨格)前面で受け止める構造です。
胸郭を後方に引く力に抵抗するのは、筋力というより重心移動なので、
チェストベルト使用は肩ベルトだけに比べて大幅に負担を減らせます。
後付けのチェストベルトも売っているので探してみると良いです。
⑤ ランドセルで歪んだ体を整える
先ほど例に挙げたアフリカ人の《頭上運搬》ですが、実はアフリカに限らず東南アジアやインドなど世界中でみられる風習で、
比較的交通網が発達していない地域に残っていると言われています。
先進国の舗装された地面で暮らす人々には、背骨ラインが崩れている傾向が高く、頭上運搬に向きません。
それに比べてアフリカ土着の人々など自然の地面を歩く人たちの体は、理想的な姿勢の人が多いです。
正しい姿勢であれば、重い荷物を運ぶ際に頭上運搬は非常に楽だと言われています。
● 整体
重たいランドセル・舗装された道路・運動不足・座り過ぎなど様々な問題を抱える現代人は、
子供の頃から体が歪みがちです。
当院にもメンテナンスに通う小学生患者さんたちが何人もいます。
ランドセルやその他、現代人は体の歪みを作りやすいので、早期から整体で整える事は適切な成長の為に有効です。
● セルフケア
またセルフケアをこまめに行う事で、ランドセルで歪んだ体をリセットしていく事も有効です。
様々なセルフケアがありますが、以下のエクササイズは特にお勧めです。
↓
【寝返りエクササイズ】
結論だけ読む人用の要約
小学生の3人に1人が《ランドセル症候群》といって、自分の身体に合わない重さや大きさのランドセルを背負って長時間通学する事で、心身の不調を示しているとされています。
ランドセルを正しくセットする事や、チェストベルトなど使用する事で、体への負担を減らしていきましょう。
ただしそれは問題の軽減に過ぎず、根本的な解決とは言えないので、現代は小学生でも整体やセルフケアによるメンテナンスが必要と言えます。
セルフケアとしては以下のエクササイズがお勧めです。
↓
【寝返りエクササイズ】
市川整体院 bodytalk と
まだLINE友達でない方はこちら